慧眼日記

慧眼のラジャ。リアルな日常。

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酔っぱらいが車におしっこをかけた

それは、ある場所へ女の子の送迎に行った時の話。場所は名古屋のカオスシティ錦三丁目。なぜそんな場所へ送迎するはめになったのか、覚えていない。まあ、そんな事はどうでもいい。

悲惨な出来事が起こった。

送迎した女の子は、かなり酔っていて1人で歩けない状態だった。しょうがないので、コインパーキングに車を停め、肩を組んで指定された場所へと彼女を連れていった。

こういう女性との接触をラッキーエロと呼ぶ人達もいるが、あいにくその女の子は醜女だったゆえ、ラッキーでもエロでもない。

そんな彼女を支えながら、人通りが多い錦の街を歩く。

恥ずかしい。

しかし、その女の子を介抱しながら歩いていても、道行く人々は僕達の事は見えていないようだ。まあ、そんな街だった。ここは。
よくある光景。キャバ嬢とボーイ。海に魚がいるように、いて当たり前の存在。

駐車場に車を停めて、10分くらいだろうか。僕は女の子を送り届け、車へと戻った。
料金を支払おうと、財布に手をかけた瞬間。「ある事」に気付く。

若いお兄さんが、僕の車の後輪めがけて勢いよく放尿しているではないか。

その光景を目撃した時、選択に迫られる。

①「このやロー!」と言いながら注意する。

②それ、僕の車なんですけど。丁寧に。

③男が去るまで待つ。

さあ、どうしようか。
不思議な事に、このとき「怒り」という感情はまったく沸かなかった。自分の車に知らない男が放尿しているというのに。
どちらかというと、「恐怖」。得たいの知れないモノを見てしまった恐怖。

酔っ払いだろう。そう思った。

酔っぱらいとのトラブルは面倒い。酔狂相手に商売しているからこそ、彼らの面倒臭さは痛烈に理解している。言葉が通じない。しかも、間違って暴力を振るわれようならたまったもんじゃない。

彼の放尿がそろそろ終わりそうな頃、閃く。

なぜ、この男が酔っぱらいだと決めつける?もしかしたらヤク中かシラフのキチガイかもしれないじゃないか。

はっとした。自身の固定観念に。

選択肢の①を取っていたら、確実にトラブルになっていたかもしれない。

セーフ。セーフ。

しかし、③のいわゆる泣き寝入りもなんか違う。なぜ、被害に逢っている僕が彼の放尿を見守り、コソコソしないといけないのか?

たまったもんじゃない。

と、いうわけで、やや凄みを効かせて②を実行することにした。

「おい、それ俺の車なんだけど?何してんの?」

ふわっと振り向く男。
チャラいパリピなお兄さん。顔は赤く、目はトロンとしている。明らかに酔っ払い。彼の目を睨み付け、出方を待つ。ものすごく怒った顔して。

すると、「ス、スイマセン。かかっちゃって・・・」と謙虚な反応。

確実に驚いたんだろう。自分が小便をかけている車の持ち主が現れたんだから当然か。

しかし、変な対応をされなくて安堵した。

とりあえず、捲し立てよう。初手で明らかに優位に立った。相手は完全に僕の事をビビっている。

「わざとやってんだろうが!このクソ酔っ払いが!てめえ、何歳だ?」

「32です。」

(意外といってるなあ)

「32にもなって、くだらん事すんな!このバカ!どーしてくれるんだ!このやろう!」

この時、僕はアウトレイジの椎名桔平を演じていた。いつかやりたかった演技。

「・・・すいませんでした。」

素直に謝る若者。

グチグチと説教をした。
そこには、大人とはこうあるべきだという持論しかなかったと思う。後々、思い出すと僕のほうが恥ずかしい。

そして、考える「落とし所」。相手も反省しているように見える。許して終わり。うん。それがいい。

こんな所で、時間を使うほどヒマでもないし。

すると、若者は自身の財布を取り出す。

「洗車代を受け取ってください!」

いやいやいやいやいやいや。ちょっとまて。これはマズイ事になった。それはやりすぎだよ。たしかに、キミの反省の色は伝わった。おカネもらっちゃうと、僕がたかってるみたいでなんかヤダ。

こういうケース。相手が謝罪の意を込めて現金を差し出そうとする場合。断る最善の方法を僕は知っている。

「てめえ!なめてんのか!」

僕は啖呵をきった。

少し沈黙を挟み、彼の目を見つめこう言った。


「金は、命より重い・・・!今回はもういいから。」


ああ、言ってやったよ。人生で一回はシリアスな現場で言いたかったあのセリフを。
所詮、彼は酔っ払い。どんな言葉も通じない。それなら適当にあしらうのがいい。

「ホント、すいませんでした。」

半泣きで謝ってくる彼に、なぜ僕の車に小便をかけたのか聞きたかったが、あえて聞かなかった。

長くなりそうだから。

とりあえず、彼に別れを告げ小便カーに乗り込み家路に着いた。

帰り道、23号線を走りながらさきほどまでの体験を悶々と考える。彼は可哀想だ。僕みたいな不摂生な男に説教され、利根川先生の名言を吐かれてブログのネタにされてるんだから。

それが、彼にとっての罰かもしれない。

とりあえず翌日、パチンコへ行った後、洗車した。


つづく。

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